著者の所属・活動拠点の国は、インドネシア、アメリカ、ハンガリーです。
掲載誌:BIO Web of Conferences
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: Crossref
肥満や脂質代謝の乱れは、高脂肪の食事と関わりが深いことが知られています。近年、乳酸菌による発酵と、豆類に含まれる生理活性成分を組み合わせた「発酵豆乳ヨーグルト」のような食品が、健康分野で注目を集めています。今回紹介する研究では、ジャックビーン(タチナタマメ)とインゲンマメの抽出物を組み合わせたヨーグルト飲料が、高脂肪食を与えたラットの脂質プロファイルにどのような影響を及ぼすかを調べました。
研究でわかったこと
この研究は、31匹の雄のスプラーグ・ドーリーラットを用いた動物実験です。ラットはランダムにブロック分けされ、正常対照群、高脂肪食対照群、標準ヨーグルト対照群、そしてジャックビーンとインゲンマメの抽出物(60%:20%の割合)を含むヨーグルトを1日1.5mLまたは3mL与える2つの介入群、合計5つのグループに分けられました(ベースライン測定時はn=6、各群の介入時はn=5)。介入は8週間続けられ、総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロールの値が、投与開始時・4週目・8週目に測定されました。
その結果、1日3mLのヨーグルトを摂取したグループでは、高脂肪食対照群と比べて総コレステロール、中性脂肪、HDL-C、LDL-Cのいずれもより大きく低下する傾向が見られました。ただし、この差は統計的に有意なものではなかった(p>0.05)と報告されています。一方で、高脂肪食を与えられたラットは、正常対照群と比べて体重が有意に増加したことが確認されています。研究チームは、このヨーグルトが脂質を調整する働きを持つ可能性があり、体を支える機能性食品として役立つ可能性があるとしつつ、より長期の介入や食事管理を伴うさらなる研究が必要だと述べています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
今回の結果は、あくまでラットを対象とした動物実験によるものであり、ヒトでも同様の効果が得られるかどうかは、この要旨だけからは分かりません。また、脂質プロファイルの低下傾向は統計的に有意ではなかったとされており、確実な効果として断定できる段階ではない点に注意が必要です。この研究は数ある研究の一つであり、これだけで結論が確定したわけではありません。今後、より長期間の介入や食事条件をそろえた研究によって、さらに検証が進むことが期待されます。
まとめ
ジャックビーンとインゲンマメの抽出物を含むヨーグルト飲料は、高脂肪食を与えたラットにおいて脂質プロファイルを改善する可能性が示唆された、というのが今回の研究の内容です。ただし統計的な有意差は確認されておらず、今後さらなる研究が必要な初期段階の知見といえます。豆由来の発酵食品がどのように体に働きかけるのか、今後の研究の展開が注目されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):ジャックビーン(Canavalia ensiformis L.)抽出物とインゲンマメ(Phaseolus vulgaris L.)抽出物を組み合わせたヨーグルト飲料が高脂肪食摂取スプラーグ・ドーリーラットの脂質プロファイルに与える影響(バイオ・ウェブ・オブ・カンファレンシズ・2026年01月)
著者:Cantika Zaddana(Nutritional Science Study Program, Faculty of Medicine and Nutrition, IPB University)、Muhammad Rizal Martua Damanik(Nutritional Science Study Program, Faculty of Medicine and Nutrition, IPB University)、Budi Setiawan(Nutritional Science Study Program, Faculty of Medicine and Nutrition, IPB University)、Ekowati Handharyani(Department of Veterinary Clinic Reproduction and Pathology, School of Veterinary Medicine and Biomedicine, IPB University)