近年、犬の食事にはドライフードだけでなく、生肉を主体とした「Raw Meat-Based Diet(RMBD)」と呼ばれる食事スタイルへの関心が高まっています。人でも腸内細菌叢と健康状態の関わりが注目されていますが、犬においても腸内環境が体調や生活の質(QOL)に影響しているのではないかという視点から研究が進められています。今回紹介するのは、RMBDを継続的に与えたときに犬の腸内環境やQOLがどのように変化するのかを調べた研究です。

この研究では、試験食品として「HUG BOX」(株式会社ハグオール製のRMBD)が使用されました。9頭の犬を対象に、比較対照群を置かない単群介入試験という形で、対象の犬たちにRMBDを継続的に摂取させ、その前後で腸内細菌叢の解析と、飼い主へのアンケート調査が行われました。

研究でわかったこと

腸内細菌叢の解析では、Sutterella属という細菌の割合が有意に減少したことが確認されました。あわせて実施された飼い主アンケートでは、糞便の状態、口腔内の環境、そして行動面についても改善が見られたと報告されています。

これらの結果から、研究チームはRMBD(HUG BOX)の継続摂取が、腸内環境の変化を介して犬のQOL向上に寄与する可能性が示唆されるとしています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は9頭という限られた頭数を対象に、比較対照群を置かない単群での介入試験として行われたものです。特定の腸内細菌の変化や飼い主アンケートの結果から可能性が示唆された段階であり、RMBDの摂取が犬の腸内環境やQOLを改善すると断定するものではありません。あくまで一つの研究であり、結論が確定したわけではない点に留意して読む必要があります。なお、本研究はペットである犬を対象に、飼い主の同意を得たうえで実施されています。

まとめ

今回紹介した研究では、RMBD(HUG BOX)を継続的に与えられた犬において、腸内細菌叢中のSutterella属の減少とともに、糞便状態・口腔内環境・行動面の改善が飼い主アンケートを通じて報告されました。犬の食事と腸内環境、QOLとの関係を考えるうえで興味深い知見ですが、今後さらに研究が積み重ねられることで、より詳しい実態が明らかになっていくことが期待されます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:RMBDの継続摂取が犬の腸内環境およびQOLに及ぼす影響(J-STAGE 収録論文(日本)・2026年07月)