豆乳やアーモンドミルクなど、動物性の乳を使わない「植物性乳代替品」はスーパーの棚でもすっかり見慣れた存在になりました。同じ「植物性ミルク」というくくりでも、原料が大豆なのかアーモンドなのかオーツ麦なのかによって、味や食感、栄養面に違いがあるのではないか——そんな素朴な疑問に取り組んだ研究が、食品栄養研究ジャーナルに2026年6月に掲載予定です。
この研究では、スロバキアのブラチスラバ市内のスーパーマーケットで実際に販売されている、大豆・アーモンド・カシューナッツ・オーツ麦・ココナッツを原料とする発酵植物性乳代替品が対象になりました。それぞれの製品について、酸性度や水分保持力といった理化学的な性質、硬さや口当たりなどの食感、脂肪酸の構成、抗酸化にかかわる成分、そして色合いまで、幅広い項目が分析されています。
研究でわかったこと
まず酸性度に関しては、アーモンド由来の製品がもっとも高いpH(酸性度が低い)と水分保持力を示した一方、オーツ麦由来の製品はもっともpHが低い(酸性度が高い)にもかかわらず、水分保持力はアーモンドと同程度だったと報告されています。また、大豆由来の製品は滴定酸度と乳酸含量がもっとも高く、発酵がより強く進んでいることがうかがえるとされています。
食感の分析では、アーモンドとオーツ麦由来の製品がより硬く、しっかりとした構造を持つ一方、カシューナッツ由来の製品はもっとも構造が弱かったと述べられています。脂肪酸の組成にも原料ごとの特徴があり、ココナッツ由来の製品には中鎖脂肪酸、大豆由来の製品には多価不飽和脂肪酸が多く含まれるなど、それぞれの原料に由来する栄養的な特徴が示されています。
抗酸化にかかわる成分については、カシューナッツと大豆由来の製品で総フェノール量・総フラボノイド量がもっとも高く、これらは抗酸化活性の高さとも関連していたとされています。色に関しては、明度・赤み・黄みを示す指標(L*・a*・b*値)が製品ごとに異なり、なかでもココナッツ由来の製品がもっとも明るい色を示したと報告されています。さらに、複数の測定項目をまとめて解析する多変量解析によって、酸度やフラボノイド量、脂肪酸組成、抗酸化にかかわる指標などを手がかりに、原料の違いによって製品を区別できることも示されました。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、あくまでスロバキアの市場で入手できた特定の製品を対象にした比較研究であり、植物性乳代替品全般に当てはまる結論を確定させるものではありません。今回示された酸度・食感・脂肪酸・抗酸化成分・色などの違いは、あくまで分析された製品間の特徴の比較であって、特定の製品や原料が健康に良い・悪いといった効果を直接示すものではない点にも注意が必要です。論文自体も、こうした知見が製品づくりや販売戦略に役立ちうると位置づけており、機能性食品としての可能性を示唆する一つの基礎データという位置づけです。
また、この記事で紹介した数値や傾向はすべて要旨に基づくものであり、詳細な数値や分析手法については原論文を参照する必要があります。一つの研究であり、結論が確定したわけではない点もあわせてご留意ください。
まとめ
普段何気なく選んでいる植物性ミルクも、原料によって酸味の強さや食感、脂肪酸の種類、抗酸化にかかわる成分、色合いまで多様であることが、今回の比較研究から見えてきました。今後、こうした知見をもとにした製品開発や、原料ごとの特徴を活かした商品選びが進んでいくのか、注目したいところです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:発酵植物性乳代替品の品質パラメータ評価:比較研究(食品栄養研究ジャーナル・2026年06月)