著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal Dehasen Untuk Negeri

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

インドネシア・スマトラ島南西部のブンクル・スラタン県はインド洋に面し、ベレダンやサワラ類などの魚が豊富にとれる地域です。一方で、家庭の主婦などの人材を生かして家計や暮らしを向上させることは、なお課題とされています。著者らは、地元の豊富な魚を付加価値のある加工食品に変えることが、住民の栄養の確保と主婦の収入向上の両方に役立つ可能性があると考えました。

この論文は、大学による地域貢献活動の報告です。コタ・マンナ地区パサール・バル町で2016年から魚味のチップスを製造している零細・中小企業「Arco Azko」を対象にしています。研究チームは、製造工程の全体像を明らかにすること、スティック形状の新商品を開発すること、事業の経済的な成り立ちを分析すること、地域の主婦への社会・経済的な影響を確かめることの4点を目的に掲げました。この事業者は、インドネシアの食品医薬品監督庁の許可と家内工業食品の許可を取得しているとされています。

どのように調べたか

研究チームは、事業者と働き手の主婦がすべての段階に積極的に関わる「参加型」の地域エンパワーメントの手法をとりました。実際の製造現場を観察して原料の準備から包装までの流れを記録し、事業者の代表と働き手の主婦には、事業の経緯や課題、暮らしへの影響について詳しく聞き取りました。あわせて、許可書類や製造記録も確認しています。

集めた情報は記述的に整理し、事業の強み・弱み・機会・脅威を洗い出す「SWOT分析」という枠組みで評価しました。さらに、ブンクル地域の原料価格をもとに、1回の製造にかかる費用と利益を計算しています。

主な結果

論文によると、チップスづくりは9つの工程からなります。魚の選別と洗浄、圧力鍋での加熱、魚のすりつぶし、生地の混合、こね、成形、揚げ、油切り、包装で、全体の所要時間はおよそ3〜4時間です。1回の製造には生の魚10キログラムとタピオカでんぷん7キログラムなどを使い、40〜50キログラムのチップスができると報告されています。著者らは圧力鍋の工程を特に重要とみています。骨まで柔らかくして身と一緒にすりつぶせるため、魚を無駄なく使えるからです。

中心となる工夫は、従来の薄い板状のチップスに加えて、細長いスティック状の商品を開発したことです。違いは揚げる前の成形にあり、生地を専用の機械や手作業で棒状にしてから揚げます。著者らは、手軽に食べやすいこと、見た目がより現代的で魅力的なこと、包装がすっきりすること、子どもや若者にも売り込みやすいことを利点として挙げています。

費用の計算では、人件費を含めた1回あたりの製造費用は96万8000ルピアでした。1キログラム7万ルピアで販売すると、売上は280万〜350万ルピアとなり、売上から製造費用を差し引いた利益は1回あたり183万2000〜253万2000ルピアと報告されています。著者らはこの結果から、事業として成り立っていると結論づけています。

働き手については、通常は4〜5人の主婦が週2回の製造に従事しています。祝祭日などの繁忙期には12〜15人に増え、毎日製造が行われます。著者らは、こうした雇用が主婦の追加収入につながっていると述べています。SWOT分析では、原料の豊富さや許可の取得、広い販売網が強みとされました。一方で、製造工程の標準化ができていないことや、道具と包装が簡素であることが弱みとして挙げられています。

この研究が伝えること

この報告は、地元でとれる魚を加工して販売する小さな事業が、一定の利益を上げながら地域の主婦に働く場を提供している様子を、現場の観察と聞き取りから具体的に示しています。著者らは、工程の標準化、包装の改善、デジタル媒体を使った販路の拡大を事業者に提言しており、身近な資源を生かした食品づくりが家計と地域の食を支える一つの形として描かれています。

原著論文の著者・所属:Ahmad Yusran Hanafi(Universitas Dehasen Bengkulu)、Asih Apriyani(Universitas Dehasen Bengkulu)、Dewi Harmili(Universitas Dehasen Bengkulu)、Dewi Syartika Putri(Universitas Dehasen Bengkulu)、Fenasri Utami(Universitas Dehasen Bengkulu)、Rita Amila(Universitas Dehasen Bengkulu)、Feri Surahman(Universitas Dehasen Bengkulu)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ahmad Yusran Hanafi, Asih Apriyani, Dewi Harmili, Dewi Syartika Putri, Fenasri Utami, Rita Amila, Feri Surahman Aneka Kripik (Rasa Ikan) Inovasi Camilan Sehat Dan Bergizi Tinggi Sebagai Strategi Ketahanan Gizi Dan Peningkatan Ekonomi Ibu Rumah Tangga Di Kelurahan Pasar Baru Kecamatan Kota Manna Kabupaten Bengkulu Selatan. Jurnal Dehasen Untuk Negeri 2026-09-21. DOI: 10.37676/jdun.v5i3.12882. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。