牛乳を使わない植物性ヨーグルトは、乳製品が苦手な人やヴィーガンの人々の選択肢として注目されています。なかでも豆乳は、牛乳に匹敵するタンパク質の質を持つとされ、発酵食品の原料として適していると考えられています。今回紹介する研究は、この豆乳に「カボチャ」を組み合わせることで、栄養面と味わいの両方を高めたヨーグルトを作れないかを調べたものです。

カボチャの果肉にはβ-カロテン、種子には免疫機能との関わりが指摘される必須微量栄養素・亜鉛が含まれるとされています。研究チームは、この2つの部位をうまく活用できないかと考え、豆乳をベースにしたヨーグルトの配合を工夫しました。

研究でわかったこと

この研究では、カボチャを加えない豆乳ヨーグルト(対照区)に加え、カボチャ果肉とカボチャ種子ミルクの配合比率を変えた3種類の試作品(F1:50対50、F2:40対60、F3:30対70)を用意しました。実験は2022年10月から2023年1月にかけて、IPB大学(ボゴール農科大学)地域栄養学科の研究室で行われ、31名の準訓練パネリスト(味の評価に慣れた協力者)による官能評価(味や食感などの好みを評価する試験)が実施されました。栄養分析の結果は、この嗜好調査(好みを尋ねるテスト)をもとに評価され、統計的な検定(一元配置分散分析とダンカンの多重範囲検定)によって比較されています。

その結果、カボチャ種子ミルクの比率が最も高いF3(果肉30:種子70)が、官能評価において有意に高い評価を得たと報告されています。さらにF3は栄養面でも優れており、100mLあたり2.5mgの亜鉛と、1gあたり144.37μgのβ-カロテンを含んでいたとされています。このことから、研究チームはF3の配合が、風味の面でも栄養の面でも好ましい特性を示し、「高亜鉛ヨーグルト」としての可能性を持つと述べています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

今回の結果は、あくまで31名のパネリストによる官能評価と栄養分析にもとづくものであり、味の好みや栄養成分の含有量が確認されたことを示すものです。特定の健康効果が証明されたり、病気の予防や改善につながることを示すものではない点に注意が必要です。また、これは一つの研究であり、配合や評価方法が異なれば結果も変わりうるため、結論が確定したものと捉えるのではなく、植物性ヨーグルトの栄養価を高める一つの試みとして参考にするのがよいでしょう。

まとめ

豆乳にカボチャの果肉と種子ミルクを組み合わせたヨーグルトの研究では、カボチャ種子の比率を高めた配合(F3)が、味の評価と亜鉛・β-カロテンの含有量の両面で良好な結果を示したと報告されています。植物性食品を組み合わせることで、栄養面に工夫を凝らした発酵食品を生み出す可能性を示す研究といえそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:豆乳、カボチャ果肉およびカボチャ種子を用いて配合したヨーグルトの栄養学的・官能的評価(フロンティアーズ・イン・ニュートリション・2026年01月)