この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Journal of Innovative and Creativity (Joecy)
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究の目的
砂糖などを加えた容器入りの甘い飲料(加糖飲料)の消費は増え続けており、さまざまな非感染性疾患の危険因子の一つとされています。製品の栄養表示を理解していれば、より健康的な飲み物を選びやすくなると期待されています。しかし、栄養表示に関する知識と実際の消費行動との関係については、これまでの研究結果が一致していませんでした。
インドネシアの研究チームはこの点を整理するため、既存の研究を集めて読み比べる文献レビューを行いました。栄養表示の知識が加糖飲料の消費行動と関係するのか、また研究ごとに結果が分かれる背景にどのような要因があるのかを明らかにし、栄養教育や健康づくりの取り組みの土台にすることを目的としています。
どのように調べたか
著者らは、Google Scholar、PubMed、ScienceDirectという学術文献データベースで、インドネシア語と英語のキーワードを組み合わせて論文を検索しました。対象としたのは、2021年から2026年に発表された原著論文のうち、栄養表示の知識や理解、利用と食品や飲料の消費行動との関係を扱い、全文を読めるものです。他の研究をまとめたレビュー論文や、要旨しか読めない資料などは除外しました。
選別の結果、条件を満たした9件の論文を分析しました。分析は数値を統合して計算し直すものではなく、各研究の対象者、研究デザイン、調べた項目、主な結果を比べ、共通点や相違点を文章で整理する「叙述的統合」と呼ばれる方法です。対象となった研究の多くは、ある一時点で知識と行動を同時に調べる横断研究で、対象者は中高生、大学生、若い成人が中心でした。
主な結果
著者らによると、多くの研究で、栄養表示についての知識がある人ほど、より健康的な製品選びや消費行動をとる傾向が報告されていました。たとえばインドネシアの成人消費者を対象とした研究や大学生を対象とした研究では、栄養表示の知識と、より健康的な加工食品の選択や容器入り飲料の消費に対する態度との間に、統計的に意味のある関係が見られました。
一方で、関係が見られなかった研究もありました。中高生を対象とした研究では、知識の程度と栄養表示を読む行動との間に有意な関係は見られませんでした。高校生を対象とした別の研究では、知識と加糖飲料の消費行動との関係は有意ではありませんでしたが、製品の入手しやすさとは有意な関係があり、入手しやすい環境にある生徒の消費行動は、入手しにくい生徒の2.06倍高いと報告されていました。
表示の見せ方も重要な要素として挙がりました。6か国の子どもや若者を対象とした調査では、包装の前面に示す警告型の表示が、従来の栄養成分表などと比べて認知、利用、理解の度合いが高かったとされます。若い成人を対象とした聞き取り研究では、砂糖の量を小さじ何杯分かで示す表示が最も分かりやすく、購入や飲用の意向を減らす可能性が大きいと受け止められていました。ただし、大学生を対象とした実験では、砂糖に関する表示を付けても購入意向に有意な差は出ませんでした。
さらに、ルーマニアの若い成人を対象とした研究では、栄養表示をよく読むと答えた人は13.3%にとどまり、食べ物を選ぶ際の主な基準は味(68.7%)でした。著者らはこれらを踏まえ、消費行動は知識だけでなく、製品の入手しやすさ、周囲の人間関係などの社会的環境、甘い味の好み、広告や販促への接触、表示の見せ方といった要因の影響も受けると整理しています。
この研究が示すこと
著者らは、栄養表示の知識は加糖飲料の消費行動と関係しているものの、その結果は研究によって一貫していないと結論づけています。表示の内容を理解していても、手に入りやすさや味の好み、習慣などが勝れば、行動は変わらない場合があるということです。なお、分析した研究の多くは一時点の調査であるため、知識が行動を変えるという因果関係までは説明できないことを、著者ら自身が限界として挙げています。
このレビューから伝わるのは、栄養表示についての知識を広めるだけでは十分ではなく、分かりやすい表示の工夫や、健康的な飲み物を選びやすい環境づくりと組み合わせることが大切だという点です。著者らは、特に中高生や若い成人にとってこうした支えが重要だとしています。
著者:Fuzha Rahma Septiane(Universitas Islam Al-Ihya Kuningan)、Seila Azmia(Universitas Islam Al-Ihya Kuningan)、Nur Laily Ramdhani(Universitas Islam Al-Ihya Kuningan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Fuzha Rahma Septiane, Seila Azmia, Nur Laily Ramdhani. Hubungan Pengetahuan Terkait Label Gizi dengan Perilaku Konsumsi Minuman Berpemanis: Literature Review. Journal of Innovative and Creativity (Joecy) 2026-09-24. DOI: 10.31004/joecy.v6i2.13029. 原著ライセンス:CC BY.