海外に留学すると、食生活も大きく変わります。見慣れない食材や外食、寮の食堂、スーパーの品揃えなど、新しい「食の環境」に身を置くことになるからです。こうした変化は、留学生が何をどれだけ食べるかに影響すると考えられています。栄養学の分野では、食事に多様な食品が含まれているかどうかを示す「食品多様性」がしばしば注目されますが、実際にどんな食品をどのくらいの種類食べているかを表す「フードバラエティ」については、あまり詳しく調べられてきませんでした。今回紹介する研究は、ハンガリーの大学に通う留学生を対象に、フードバラエティと不健康な食品の摂取との関係、そしてそれらに関わる社会人口統計学的・行動的な要因を調べたものです。

どんな研究が行われたのか

この研究では、ハンガリーの高等教育機関に在籍する留学生380名を対象に、横断的な調査が実施されました。食品摂取頻度調査票(FFQ)を組み込んだ構造化アンケートを用いてデータを収集し、「食品多様性スコア(FVS)」と「不健康食品消費スコア(UFCS)」が算出されました。両者の関連は、記述統計、ピアソンの相関分析、そして複数の要因を同時に考慮する多変量線形回帰分析によって検討されています。

研究でわかったこと

FVSの平均値は62.7(標準偏差26.7)で、参加者によってかなりばらつきがあったことが示されています。穀類、野菜、乳・乳製品はすべての参加者が摂取していた一方、魚介類(61.6%)や白い芋・根菜類(67.9%)は摂取している人の割合が最も低い食品グループでした。

特に注目される結果として、FVSとUFCSの間には非常に強い正の相関(r = 0.930、p < 0.001)が見られました。つまり、食べている食品の種類が多い人ほど、不健康とされる食品の消費量も多い傾向があったということです。この関連は、FVSの計算から不健康な食品項目を除いた指標(aFVS)で見ても、依然として強い相関(r = 0.862、p < 0.001)として残っていました。

さらに多変量解析からは、月収が高いことや就労していることが、FVSとUFCSの両方と正の関連を示す一方、奨学金を受給していること、大学院生であること、特別な食事法(特定の食事制限やダイエットなど)を実践していることは、両スコアと負の関連を示すことが報告されています。

この研究の位置づけと読むうえでの注意

この結果が示唆しているのは、「食べる食品の種類が多いこと」が、そのまま「健康的な食生活」を意味するわけではないという点です。多様な食品を摂取していても、その中に不健康とされる食品が多く含まれていれば、食事の質という観点では必ずしも望ましいとは言えない可能性があります。

この調査はハンガリーの留学生380名を対象とした一時点の横断調査であり、対象者や国・地域が異なれば結果が変わる可能性も考えられます。あくまで一つの研究であり、これだけで留学生全体の食生活について結論が確定したわけではない点には注意が必要です。

まとめ

この研究では、ハンガリーの留学生においてフードバラエティと不健康食品の消費が強く関連しており、食品の種類の豊富さと食事の質の高さは同じものではないことが示されました。研究チームは、留学生を対象とした栄養面での支援や介入を考える際には、食品の多様性だけでなく栄養的な質もあわせて評価することの重要性を指摘しています。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ハンガリー在住留学生における食品多様性と不健康な食品摂取:社会人口統計学的・行動的要因との関連(ニュートリエンツ・2026年07月)