「脂っこいものは太る」と一括りにされがちですが、脂質の多い食品にも個性があります。和牛の脂身からクジラマグロプロセスチーズまで——同じ「高脂肪」でも、エネルギーやたんぱく質の量はじつにさまざまです。今回は5つの食品を数値で比べながら、それぞれの特徴と上手な付き合い方を探ってみましょう。

栄養データで見る特徴

まず驚くのが、和牛リブロース脂身(生)のエネルギーです。100gあたりなんと674 kcal、脂質は78.0 gに達します。たんぱく質はわずか4.2 gしかなく、ほぼ脂質だけでカロリーが構成されているといっても過言ではありません。一方、同じ和牛でも和牛ばら(脂身つき・生)は100gあたり472 kcal、脂質50.0 g、たんぱく質11.0 gと、リブロース脂身より脂質が大幅に低く、たんぱく質もしっかり摂れる構成です。鉄も1.4 mgと、今回の5食品の中でもっとも高い値を示しています。

海の食材に目を向けると、くじらうねす(生)は100gあたり328 kcal、脂質31.4 g、たんぱく質18.8 gというバランスが特徴的です。ビタミンCが6 mg含まれている点も、肉類としては珍しい側面です。みなみまぐろ脂身(生)は322 kcal、脂質28.3 g、たんぱく質20.3 gで、今回比較した5食品の中では比較的たんぱく質量が多い食品のひとつです。カルシウムは9 mgで、ビタミンCも5 mg含まれています。

そして異色の存在がプロセスチーズです。エネルギーは313 kcal、脂質26.0 g、たんぱく質22.7 gと、今回の5食品の中でもっともたんぱく質が多い食品です。そして圧倒的なのがカルシウムで、100gあたり630 mgという突出した数値を誇ります。これは和牛リブロース脂身の2 mgや和牛ばらの4 mg、みなみまぐろ脂身の9 mgとは比較にならないほどの差です。

食べ合わせ・活用のポイント

和牛リブロース脂身は旨みの源でもありますが、単独で多量に食べるとエネルギーが一気に跳ね上がります。薄切りにしてしゃぶしゃぶの出汁として活用したり、野菜炒めの風味づけに少量加えるなど、『風味を引き出す調味的な役割』として使うのがスマートです。対して和牛ばらは鉄が豊富なため、ビタミンCを含む野菜(パプリカブロッコリーなど)と一緒に食べる献立を意識すると、食事全体の栄養バランスを整えやすくなります。

みなみまぐろの脂身はたんぱく質も含まれるため、ご飯と合わせた丼ぶりとして食事のひとつに取り入れることができます。ただし脂質が100gあたり28.3 gと高めであるため、食べる量には注意が必要です。くじらうねすは希少な食材ですが、竜田揚げや煮物など昔ながらの調理法で楽しめます。プロセスチーズはカルシウムを手軽に補える食品として優れており、パンやサラダへのトッピング、子どものおやつとして少量ずつ取り入れるのに適しています。

選び方・注意点

和牛リブロース脂身和牛ばらを選ぶ際は、食べる量に注意が必要です。脂質は1gあたり9 kcalのエネルギーを持つため、少量でも全体のエネルギー摂取量に大きく影響します。購入時はパッケージの内容量を確認し、一回の使用量の目安を意識しましょう。みなみまぐろの脂身は刺身で購入する場合、鮮度の確認が大切です。色が均一で艶があるものを選び、当日中に食べるのが基本です。

プロセスチーズは食塩が多く含まれる傾向があります。塩分摂取が気になる方は一度に大量に食べず、少量ずつを日々の食事に加える方法が賢明です。食塩摂取量の目安については、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」において、成人男性7.5 g未満・成人女性6.5 g未満(1日あたり)が目標値として示されています(次期改定版が公表された場合はそちらをご参照ください)。くじらうねすは流通量が限られる食材ですので、信頼できる専門店や鮮魚店で入手するのが安心です。

まとめ

脂質が多い食品といっても、エネルギー・たんぱく質・ミネラルの構成はそれぞれ大きく異なります。和牛リブロース脂身のように脂質が突出した食品は使い方に工夫が必要ですが、プロセスチーズみなみまぐろの脂身のようにたんぱく質やカルシウムも同時に摂れる食品は、量を意識しながら上手に食事へ取り込む価値があります。各食品の詳しい成分値は食品群一覧からも確認できますので、ぜひ日々の食選びの参考にしてみてください。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータをもとに作成しました。