綿花といえば衣類の繊維を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、その種子である「綿実(わたみ、コットンシード)」は、繊維を採ったあとに残る副産物として扱われ、これまで十分に活用されてこなかったといいます。しかし綿実には栄養やフィトケミカル(植物由来の機能性成分)が豊富に含まれている可能性があり、今回紹介する研究では、その具体的な中身が科学的に調べられました。

何を、どのように調べたのか

研究チームは、綿実に含まれるフィトケミカル(植物由来の化学成分)の種類と量、抗酸化活性、栄養成分(タンパク質や脂質など)、そして「抗栄養素」と呼ばれる成分の量を、標準的な分析手法を用いて調べました。抗栄養素とは、体内での栄養素の吸収を妨げる可能性がある成分のことを指します。

研究でわかったこと

フィトケミカルの分析では、アルカロイド、フラボノイド、タンニン、サポニンといった成分が、それぞれ相応の量で含まれていることが確認されたと報告されています。これらは植物に広く見られる機能性成分の代表格です。

抗酸化性についてはDPPHラジカル消去能と総フェノール含量という2つの手法で評価されました。その結果、綿実は濃度依存的に強い抗酸化活性を示し、IC₅₀値(活性の強さを示す指標で、値が低いほど強い活性を意味します)は7.6 mg/mLと低い値であったとされています。

栄養成分の分析(一般成分分析)では、綿実にはタンパク質が23.80±0.30%、脂質が21.20±0.40%、食物繊維が14.80±0.40%含まれていることが示されました。いずれも比較的高い割合であることがうかがえます。

一方で、フィチン酸(15.15±0.28 mg/100g)やシュウ酸(3.58±0.12 mg/100g)といった抗栄養素も検出されましたが、その濃度は許容範囲内であったと報告されています。

これらの結果を踏まえ、研究チームは綿実が機能性食品やニュートラシューティカル(健康機能を持つとされる食品素材)の原料として活用できる可能性を示唆しています。

読むうえでの注意

この記事で紹介した内容は、あくまで一つの研究による分析結果です。抗酸化活性や栄養価が確認されたからといって、綿実を摂取することで特定の健康効果が得られると断定するものではありません。また、実際に食品として利用する際の安全性や加工方法、摂取量などについては、この要旨だけでは触れられておらず、今後さらなる検証が必要と考えられます。

まとめ

今回の研究は、これまで副産物として見過ごされがちだった綿実に、タンパク質・脂質・食物繊維といった栄養成分や、フラボノイド・タンニンなどのフィトケミカル、そして強い抗酸化活性が備わっていることを分析によって明らかにしたものです。抗栄養素も許容範囲内であったことから、今後、機能性食品などへの応用可能性を探る研究の土台になることが期待されます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:綿実の抗酸化性、フィトケミカル、抗栄養素、栄養特性の評価(健康代謝栄養学誌・2026年07月)