砂糖に似た甘さを持ちながら、歯を溶かす酸をほとんど作らない——そんな性質を持つ成分が「糖アルコール」です。糖の分子にアルコール基と呼ばれる構造をつけた成分で、キシリトール・ソルビトール・マルチトール・エリスリトールなどが代表例。消化管で吸収されにくいため低カロリー甘味料として利用され、ガムや菓子の原料としてもおなじみです。厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、糖アルコールは口の中で酸を産生しにくく、う蝕(虫歯)の原因になりにくいとされています。

日本人の食事摂取基準には、糖アルコールに対する推奨量や目安量といった定量的な基準は設定されていません。それでも日本食品標準成分表(八訂)に収載された85件のデータを眺めると、「この食品にこんなに含まれているのか」と思わず二度見するような顔ぶれが並びます。

上位5食品の読み解き

第1位・第2位:甘味料そのものが上位に

最も糖アルコール濃度が高かったのは、還元麦芽糖(でん粉糖類)で、可食部100gあたり98.9g。炭水化物のほぼ全量が糖アルコールという、文字通り「糖アルコールの塊」です。トウモロコシなどのでん粉を原料に工業的に製造され、菓子や加工食品の甘味料として幅広く使われています。

続く第2位は還元水あめで100gあたり69.9g。水あめはもともとでん粉を分解・糖化させた粘り気のある甘味料ですが、「還元」することで糖アルコールが増えた形です。食物繊維も100gあたり14gと多く含まれています。

この2品は甘味料原料そのものなので、一度に口にする量は料理の用途によりごく少量。「糖アルコールが多い=毎日たっぷり食べるもの」ではなく、加工食品の成分表示を見るときの参考として覚えておくと役立ちます。

第3位・第4位:昆布が意外な上位に

3位と4位に並んだのが海藻、それも昆布です。まこんぶ(素干し・乾)が100gあたり23.4g、刻み昆布が12.4g。昆布は水溶性食物繊維であるアルギン酸やフコイダンを豊富に含む海藻で、あのぬめりのもとがこれらの成分とされています。カリウムや食物繊維も多く、エネルギーが低いことでも知られていますが、糖アルコールもしっかり含んでいたわけです。

ただし昆布を食べるときに気をつけたいのがヨウ素です。まこんぶ素干しは100gあたりヨウ素を200,000µg含み、これは耐容上限量(3,000µg/日)の約66.7倍にあたる量です。刻み昆布はさらに多く100gあたり230,000µgと、まこんぶを上回り耐容上限量の約76.7倍にあたります。もちろん一食に昆布を100g食べることは現実的ではなく、まこんぶ素干しの目安量は5cm角で約2g、刻み昆布は1人分5g程度。通常の使い方であれば心配しすぎる必要はありませんが、昆布を日常的に大量に食べる習慣がある場合は量に気をつけることが大切です。

第5位:プルーンに糖アルコール

5位はプルーン(乾)で100gあたり12.1g。別名・西洋すももとも呼ばれる果実を乾燥させたもので、種なし1個は約10g。つまり1個あたり約1.2gの糖アルコールを含む計算です。乾燥によって成分が凝縮された結果、糖アルコールも上位5品に入るほど密度が高くなっています。食べすぎには注意しつつ、手軽につまめるサイズが魅力です。

まとめ:表示を読む目が変わる

糖アルコールは甘味料として加工食品に広く使われており、成分量のトップには還元麦芽糖・還元水あめといった甘味原料が並びました。一方で昆布やプルーンといった身近な食品にも含まれていることが、今回のデータで見えてきました。菓子や飲料の「糖アルコール使用」という表示を目にしたとき、それがどんな成分で、どんな食品に多く含まれるのかを知っておくと、日々の食品選びをより根拠のある目で見られるようになるはずです。

栄養素のはたらきの記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 e-ヘルスネット「う蝕(虫歯)と糖アルコール」/厚生労働省「日本人の食事摂取基準」/文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。