日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。

掲載誌:Asia Pacific journal of clinical nutrition

ライセンス: 論文に記載なし

「子どもはちゃんと食べているから大丈夫」と思っていませんか? 日本全国の保育所に通う幼児669人を対象にした最新研究が、幼児の食事の質に関する興味深い実態を浮き彫りにしました。特に、平日と週末で食事の内容が大きく変わるという結果は、子どもの食生活を考えるうえで見逃せないポイントです。

研究でわかってきたこと

今回ご紹介するのは、アジア太平洋地域臨床栄養学誌(2026年4月)に発表された研究です。3〜5歳の幼児669人を対象に、アメリカの食生活指針をもとに開発された食事の質を評価するツール「Healthy Eating Index(HEI)-2020」を用いて、日本の子どもたちの食事の質を検証しています。

研究によると、HEI-2020の合計スコアの中央値は100点満点中50点と報告されています。タンパク質食品や魚介類・植物性タンパク質、添加糖の摂取に関する項目はほぼ満点に近いスコアだった一方で、全粒穀物や精製穀物に関する項目はほぼゼロ点に近い結果だったことが示されています。これは、日本の食文化において全粒穀物(玄米や全粒粉パンなど)を日常的に食べる習慣が少ないことが影響していると考えられます。

また、HEI-2020のスコアが高いほど飽和脂肪酸の摂取量が低く、食物繊維・各種ビタミン・ミネラルの摂取量が多い傾向にあることも報告されており、このツールが子どもの栄養摂取状況の課題を捉えるうえで有効である可能性が示唆されています。

さらに注目すべきは、平日と週末のスコア差です。平日は週末よりもスコアが有意に高く、ばらつきも少ないという結果が得られています。特に乳製品(Dairy)と緑の野菜・豆類(Greens and Beans)の項目で、平日と週末の差が大きかったと報告されています。保育所での給食が栄養バランスを支えている一方、週末の家庭での食事では野菜や乳製品の摂取が不足しやすい可能性が示唆されています。

注目の食品と実践的な栄養の視点

今回の研究でスコア差が大きかった乳製品と緑の野菜・豆類は、幼児期の成長に欠かせない栄養素を豊富に含む食品グループです。最新の日本人の食事摂取基準(厚生労働省)によれば、幼児期はカルシウムや鉄、ビタミン類など多くの栄養素を体重あたりで成人より多く必要とする時期とされています。

乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズなど)はカルシウムの主要な供給源であり、緑の野菜(ほうれん草・小松菜・ブロッコリーなど)や豆類(枝豆・大豆製品など)は食物繊維・葉酸・鉄・カルシウムなどを含む食品として知られています。週末にこれらの食品が摂りにくくなるという傾向は、保護者にとって意識したいポイントといえるでしょう。

なお、本記事で参照している食品栄養データについては、食品ごとの詳細な成分値は農林水産省・文部科学省が公表する日本食品標準成分表(八訂)等の公的データをご参照ください。

日々の食事に取り入れるヒント

週末の食事の質を保育所の給食に近づけるための、実践的なアイデアをご紹介します。

  • 乳製品を朝食に習慣化する:週末の朝食にヨーグルトや牛乳を取り入れるだけで、カルシウムや良質なタンパク質を手軽に補えます。フルーツを混ぜて食べやすくするのもおすすめです。
  • 緑の野菜を「隠す」工夫を:ほうれん草や小松菜は、スムージーやチャーハン、スープに混ぜると子どもが食べやすくなります。緑の野菜が苦手な子どもでも食べやすくなる調理法を試してみましょう。
  • 豆類をプラスワンで:味噌汁に豆腐や油揚げを加えたり、ご飯に枝豆を混ぜたりと、豆類を「プラスワン食材」として活用することで、手軽に摂取量を増やすことができます。
  • 保育所の給食献立を参考にする:保育所から給食の献立表や写真を入手できる場合、週末の献立作りの参考にするのも一つの方法です。

まとめ

今回の研究は、日本の幼児の食事が平日と週末で異なる傾向があること、特に乳製品や緑の野菜・豆類が週末に不足しやすい可能性があることを示唆しています。幼児期は食習慣の基盤が形成される大切な時期です。毎日完璧を目指すのではなく、週末の食卓にもう一品野菜や乳製品を加えるという小さな積み重ねが、子どもの食の土台づくりにつながるかもしれません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。出典(原著論文):Diet quality of Japanese preschool children assessed by the Healthy Eating Index-2020: Nutrient and food group intake, as well as weekday-weekend differences(アジア太平洋地域臨床栄養学誌(2026-04-01))

著者:Hazuki Akazawa(Graduate School of Human Life and Ecology, Osaka Metropolitan University, Osaka, Osaka, Japan. Email: [email protected])、Atsuki Sakai(Graduate School of Human Life and Ecology, Osaka Metropolitan University, Osaka, Osaka, Japan)、Takako Takahashi(Graduate School of Human Life and Ecology, Osaka Metropolitan University, Osaka, Osaka, Japan)、Tetsuko Okabe(School of Nursing and Nutrition, Tenshi College, Sapporo, Hokkaido, Japan)、Ruriko Sasaki(Faculty of Human Life Science, Miyagi Gakuin Women's University, Sendai, Miyagi, Japan)、Hiromi Ishida(Faculty of Nutrition, Kagawa Nutrition University, Sakado, Saitama, Japan)、Hiromitsu Ogata(Faculty of Nutrition, Kagawa Nutrition University, Sakado, Saitama, Japan)、Mitsuhiko Hara(Faculty of Human Ecology, Wayo Women's University, Ichikawa, Chiba, Japan)、Yukiko Yoshioka(Faculty of Nutritional Science, Sagami Women's University, Sagamihara, Kanagawa, Japan)、Miho Nozue(Faculty of Health Promotional Sciences, Tokoha University, Hamamatsu, Shizuoka, Japan)、Tatsuaki Sakamoto(Faculty of Environmental and Symbiotic Sciences, Prefectural University of Kumamoto, Kumamoto, Kumamo-to, Japan)、Sanae Ito(Faculty of Medicine, University of the Ryukyus, Ginowan, Okinawa, Japan)、Nobuko Murayama(Faculty of Human Life Studies, University of Niigata Prefecture, Niigata, Niigata, Japan)、Katsushi Yoshita(Graduate School of Human Life and Ecology, Osaka Metropolitan University, Osaka, Osaka, Japan)