コーヒーや緑茶を飲むと、ほっとするだけでなく体にも良い影響があるかもしれない、という話を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。コーヒーや茶には「ポリフェノール」と呼ばれる植物由来の成分が豊富に含まれており、抗酸化作用など様々な生理作用が注目されています。今回紹介するのは、こうしたコーヒーと茶のポリフェノールが心血管疾患、糖尿病、神経変性疾患、がんといった慢性疾患にどのように関わりうるのかを、これまでの研究をまとめて整理した「ナラティブレビュー」という形式の論文です。
研究の方法
この研究は、新しい実験を行ったものではなく、2019年から2024年に発表された英語論文を対象に、メタアナリシスやシステマティックレビュー、ランダム化比較試験、横断研究など、ヒトを対象とした研究を集めて内容を整理したものです。コーヒーと茶(特に緑茶)に含まれるポリフェノールが、慢性疾患の予防や管理にどう関わっているのか、またその作用の仕組みについて、既存の文献から要点をまとめる形で検討されています。
研究でわかったこと
これまでの文献を整理した結果として、コーヒーや、特に緑茶に含まれるポリフェノールを適度に摂取することは、体を守る方向に働く可能性があると報告されています。特にがんとの関連については、緑茶を1日5杯以上といった多めの量で摂取することが、発がんを防ぐ方向の作用(化学予防)に関わる可能性があると示唆されています。
これらを踏まえて、この論文では、コーヒーや茶に含まれるポリフェノールが慢性疾患の予防や管理において健康上の利益をもたらす可能性があると結論づけられています。ただし、これまでの研究の多くは観察研究であり、摂取と病気の予防との間に保護的な関連がありそうだと示している一方で、「摂取したから予防できた」という因果関係を確定させ、どのくらいの量を飲むのが適切かを明らかにするには、さらに臨床試験が必要だとも述べられています。
この研究を読むうえでの注意
この論文はナラティブレビューという形式であり、著者らが独自に実験や調査を行ったものではなく、既存の文献を集めて論じたものです。また、要旨の中でも触れられているとおり、これまでの知見の多くは観察研究にもとづくもので、コーヒーや茶のポリフェノール摂取が慢性疾患を防ぐという因果関係そのものを証明したものではありません。「効果がある」と決めつけるのではなく、「保護的な関連が示唆されている」段階の話として受け止めるのがよさそうです。また、どの程度の量が適切かについても、まだ研究の途上にあるとされています。
まとめ
コーヒーや緑茶に含まれるポリフェノールについては、適度な摂取が慢性疾患に対して保護的に働く可能性があること、特に緑茶を多く摂取する場合にはがんの化学予防との関連が示唆されていることが、この レビュー論文から報告されています。とはいえ、これは一つのレビュー論文であり、因果関係や最適な摂取量については今後の臨床試験を通じてさらに検証が必要とされている段階です。日々の一杯のコーヒーやお茶を楽しみながら、こうした研究の進展を気軽に追いかけてみるのも面白いかもしれません。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:茶とコーヒーに含まれるポリフェノールと慢性疾患における役割に関する最新のナラティブレビュー(ズドロヴィエ・プブリチネ・イ・ザジョンザニエ(公衆衛生とマネジメント)・2026年07月)