クルミ入りのパン、カシューナッツを使ったカレー、マカダミアナッツのチョコレート——身近な食品の中に「木の実類」は静かに広がっています。ところが近年、日本でもこれらのナッツ類によるアレルギーが急増しており、子どもを持つ保護者や食品を扱う方々にとって無視できないテーマになっています。最新の研究知見をもとに、木の実類アレルギーの現状と、日常生活で押さえておきたいポイントを整理します。

研究でわかってきたこと

消費者庁が実施した全国調査(2023年)によると、即時型食物アレルギーの原因食品として、木の実類は鶏卵に次いで第2位を占めると報告されています。なかでもクルミは単独でも第2位という位置づけで、カシューナッツ、マカダミアナッツと続くとされています。

注目すべきは、症状の出方のパターンです。論文では、木の実類アレルギーで救急受診する患者の多くが幼児期に初めてその食品を口にした際に症状を発症しており、重篤なアナフィラキシー(急性の全身性アレルギー反応)が誘発されることも珍しくないと報告されています。つまり「初めて食べたその瞬間」に激しい症状が現れるケースが少なくないということです。

アレルギーを発症しやすいリスク因子として、乳児期から続く湿疹や、他の食物アレルギーをすでに持っていることが知られていると論文は指摘しています。また、木の実類は加工食品や外食メニューに幅広く使用されており、知らないうちに摂取してしまうリスクも見逃せません。

一方で、研究ではアレルギーの管理においても重要な視点が示されています。特にリスクが高いと考えられる子ども(ハイリスク児)に対しては、特異的IgE抗体価(血液検査で確認できるアレルギーの指標)などをもとに、医療機関での経口負荷試験(実際に少量ずつ食べて反応を確認する検査)や、慎重な自宅での摂取を進めることで、不必要な食品除去を減らすことが患者の利益につながると示唆されています。「とにかく食べさせない」だけでなく、専門家のもとで適切に評価・対応することの重要性が報告されているのです。

日々の食事に取り入れるヒント

  • 加工食品の原材料表示を確認する習慣をクルミ・カシューナッツ・マカダミアナッツは菓子・パン・総菜類に広く使われています。食品表示ラベルを購入前に確認することが、アレルギー事故防止の第一歩です。
  • 外食時は事前確認を:ナッツ類は調理の隠し味やトッピングとして使われることが多く、見た目ではわかりにくい場合があります。アレルギーを持つ方やその家族を連れていく場合は、事前にお店へ問い合わせるのが安心です。
  • 幼児への初めての食材は少量から・昼間に:アレルギーの専門家の間では、初めての食材を与えるときは少量から始め、万が一症状が出た場合に医療機関を受診しやすい昼間の時間帯に試すことが推奨されています。特にリスクが高い可能性があるお子さんは、かかりつけ医にご相談ください。
  • 不必要な食品除去は栄養バランスに影響することも:論文でも指摘されているように、医師の判断によらない自己判断での食品除去は、特に成長期の子どもにとって栄養面での影響が出る可能性があります。アレルギーの検査・管理は専門医のもとで行うことが大切です。
  • ナッツ類の栄養成分データを調べたい方へクルミやカシューナッツなど種実類の詳細な成分データは、食品群一覧の「種実類」からご確認いただけます。

まとめ

木の実類アレルギーは「希な話」ではなく、いまや日本の即時型食物アレルギーの原因第2位を占めるまでになっています。最新の研究は、一律の除去より専門家と連携した適切な評価・管理の重要性を示唆しています。食品表示を読む習慣と、かかりつけ医への相談を組み合わせながら、家族全員が安心して食事を楽しめる環境を整えていきましょう。

※本記事は研究論文の知見をもとに作成しました。参考文献:木の実類アレルギー(J-STAGE 収録論文)

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。