この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Jurnal Teknologi informasi dan Ilmu Komputer

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

口コミを小規模事業者の手がかりにする

飲食店を選ぶとき、Googleマップの星の数や口コミを参考にする人は多いでしょう。こうしたオンラインの口コミには、消費者が何を評価し、何に不満を持つかという情報が大量に含まれています。しかし研究チームによると、インドネシアの零細・中小企業(現地でUMKMと呼ばれる小規模事業者)は、分析の技能や設備が限られているため、この情報をあまり活用できていません。

インドネシア・スラバヤの大学の研究チームは、スラバヤ東部の飲食系小規模事業者を対象に、Googleマップの口コミから消費者の好みの傾向を読み取ることを目指しました。具体的な目的は二つです。業種や地域によって好みがどう違うかを調べること、そして星による評価がどのように分布しているかを分析することです。

著者らは、文章の意味まで機械に読み取らせる本格的な自然言語処理には頼りませんでした。インドネシア語の口コミには地域の言語やくだけた表現が混ざり、その種の手法では扱いにくいからです。代わりに、言語の違いに左右されない星の評価と、口コミに出てくる単語の数え上げを組み合わせました。

30万件を超える口コミを集めて整理

研究チームは2026年1月から3月にかけて、プログラムでウェブページから情報を自動的に集める「ウェブスクレイピング」という方法を使い、スラバヤ東部の7つの郡(クチャマタン)にある飲食系事業者のデータを収集しました。平均評価を安定させるため、口コミが1,000件を超える事業者に絞った結果、106の事業者が対象となりました。重複や空欄を取り除いて整えた口コミは、30万6,528件に上ります。

このうち文章がそろった350件を選び、さらに詳しく分析しました。文章をすべて小文字にそろえ、記号を取り除き、単語に区切り、意味の薄い語を除き、語形を基本形に戻すという下処理をしたうえで、よく出てくる単語を数えています。星の評価は、4〜5を「肯定的」、3を「中立」、1〜2を「否定的」に分けました。ただし論文は、この分類は星にもとづく便宜的な区分であり、実際の満足度を直接測ったものではないと断っています。

評価は全体に高く、話題の中心は味と価格

106事業者の平均評価は5点満点で4.50でした。詳しく分析した350件の口コミでは、82.3%が肯定的、中立と否定的がそれぞれ8.9%でした。業種別では「ナシ(ご飯)・ライスボウル」が平均4.70で最も高く、「中華・点心」が3.70で最も低くなりました。ただし著者らは、前者は2事業者、後者は1事業者しかなく、平均値が偏りやすいと注意を促しています。

口コミで最も多く使われた単語は、「おいしい」を意味する「enak」(183回)、「味」を意味する「rasa」(162回)、「価格」を意味する「harga」(137回)でした。「駐車場」(70回)や「広い」(65回)も上位に入り、店への行きやすさや居心地も関心事であることがうかがえます。意味がはっきりした上位の語を分類すると、食べ物の質や味に関する語が全体の53.3%を占めました。一方、「不足・いまひとつ」を意味する「kurang」のように、後に続く語で意味が変わる単語もあります。このため論文は、単語の出現回数はあくまで初めの手がかりにとどまるとしています。

地域別にも興味深い傾向が見られました。事業者数が最も多いのはルンクット郡(32事業者)でしたが、口コミの総数が最も多かったのはグベン郡(27事業者、9万1,837件)でした。1事業者あたりの口コミ数ではスコリロ郡が4,335件で最も多くなりました。店の数が多い地域ほど口コミが活発とは限らないことが示されています。研究チームは、これらの結果を地域や業種で絞り込めるダッシュボード(データを一覧できる画面)にもまとめました。

手軽な方法で好みの傾向をつかむ

この研究は、特別な計算設備がなくても、Googleマップの口コミを集計して飲食系小規模事業者への好みを多面的に整理できることを示しました。業種、地域、評価、口コミの量、よく使われる言葉を組み合わせて分析しています。結果からは、味と価格が口コミの主な話題であることや、店の数の多さと口コミの多さが必ずしも一致しないことが読み取れます。

一方で著者らは、この研究が実態を記述したものであり、原因と結果の関係は確かめていないことを明記しています。詳しい分析は、文章の充実度を基準に選んだ350件に限られます。対象地域もスラバヤ東部の7郡だけです。そのため研究チームは、この結果を店や地域の改善を考えるための出発点となる情報として位置づけています。

著者:Akhmad Fauzie Qolbuzar(Narotama University)、Eman Setiawan(Narotama University)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Akhmad Fauzie Qolbuzar, Eman Setiawan Analisis Pola Preferensi Konsumen UMKM Berbasis Ulasan Google Maps di Surabaya Timur. Jurnal Teknologi informasi dan Ilmu Komputer 2026-10-08. DOI: 10.65258/jutekom.v2.i4.77. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。