5月の北海道は、大地が一斉に息吹く季節です。雪解け水を吸い上げた土から力強く伸びるグリーンアスパラガスは、まさにこの時期だけの贈り物。産地・北海道では収穫したてを直売所や朝市で手に入れることができ、その鮮度と甘みは他の産地のものとは一線を画します。今回は、この北海道アスパラガスの持つ力を最大限に引き出すための調理の工夫と、調理による成分の変化に注目して解説します。

この時期に注目したい成分

アスパラガスの若茎(生)には、100gあたりビタミンCが15mg含まれています。ビタミンCはアスパラガスの代表的な成分のひとつであり、体の中でコラーゲン合成に関わるとされています。また、鉄は100gあたり0.7mg含まれており、植物性食品としては注目に値する数値です。

さらに、アスパラガスにはアスパラギン酸と呼ばれるアミノ酸が多く含まれることでも知られています(アスパラギン酸はアスパラガスから初めて単離されたことでその名がつきました)。食物繊維は100gあたり1.8g(生)と、腸内環境を整える観点からも日常的に取り入れたい食品です。旬の5月は産地直送の品が出回りやすく、鮮度が高い状態でこれらの成分を摂れる絶好の機会といえます。

おすすめ食品とその数値データ

日本食品標準成分表(八訂)には、アスパラガス若茎について生・ゆで・油いための3つの調理状態が収録されています。それぞれの数値を比較することで、調理による成分の変化が見えてきます。

  • アスパラガス若茎(生):エネルギー21kcal、たんぱく質2.6g、脂質0.2g、炭水化物3.9g、食物繊維1.8g、カルシウム19mg、鉄0.7mg、ビタミンC 15mg(いずれも100gあたり)
  • アスパラガス若茎(ゆで):エネルギー25kcal、たんぱく質2.6g、脂質0.1g、炭水化物4.6g、食物繊維2.1g、カルシウム19mg、鉄0.6mg、ビタミンC 16mg(いずれも100gあたり)
  • アスパラガス若茎(油いため):エネルギー54kcal、たんぱく質2.9g、脂質3.9g、炭水化物4.1g、食物繊維2.1g、カルシウム21mg、鉄0.7mg、ビタミンC 14mg(いずれも100gあたり)

注目したいのはビタミンCの変化です。ゆでたアスパラガスのビタミンCは16mgと、生(15mg)と比べてほぼ同等かわずかに高い数値を示しています。一般にビタミンCは水溶性で熱に弱いとされますが、アスパラガスではゆでることで大きく損失しない傾向が成分表のデータからも確認できます。一方、油いため(14mg)ではわずかに低下しています。

鉄については、生(0.7mg)油いため(0.7mg)が同値であるのに対し、ゆで(0.6mg)はわずかに低下しており、ゆで汁への溶出が一因と考えられます。食物繊維はゆでと油いためのいずれも2.1gとなり、生(1.8g)よりやや高い数値を示しています。

毎日の食事への取り入れ方

北海道産地ならではの食べ方として、まずおすすめしたいのがシンプルな塩ゆでです。大きめの鍋に湯を沸かし、根元側を先に入れてから穂先も浸ける方法(斜めに鍋に立てかけるように入れる)で、全体に均一に火が入ります。ゆで時間は細いものなら1〜2分、太いものでも2〜3分が目安。ゆですぎると穂先がくずれ、風味も落ちるため、硬めで引き上げるのがコツです。

鉄の吸収を助ける観点では、生のアスパラガスゆでたアスパラガスにビタミンCが含まれている点はプラスに働きます。植物性食品の鉄(非ヘム鉄)はビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が高まるとされているためです。レモン汁ポン酢を添えるだけで、理にかなった食べ方になります。

油いためは、エネルギーが54kcalと3つの中で最も高くなりますが、たんぱく質が2.9gとわずかながら高く、カルシウムも21mgと最も高い数値を示しています。オリーブオイルバターでさっと炒め、にんにくの香りをきかせるシンプルなソテーは、北海道の農家でも定番の食べ方として知られています。産地では収穫当日のアスパラをそのままグリルで焼き、塩だけで味わう食べ方も人気です。焼くことで甘みが凝縮され、旬の醍醐味を存分に楽しめます。

下ごしらえの基本として、根元の硬い部分(1〜2cm)は切り落とし、根元から3分の1ほどの皮をピーラーでむくと全体に均一に火が入りやすくなります。穂先には砂がたまりやすいので、水でやさしく洗い流してから調理しましょう。

まとめ

5月の北海道アスパラガスは、調理法によって成分の変わり方が比較的おだやかな食材です。ゆでても油いためにしても、それぞれの調理に応じた良さがあります。シンプルな調理で旬の風味を楽しみながら、この時期だけの恵みを食卓に取り入れてみてください。詳細は厚生労働省の最新資料をご確認ください。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。