トマトジュースやケチャップなどを作る過程では、皮や種、果肉の残りが大量に発生します。これは「トマトポマース」と呼ばれる副産物で、水分を多く含むため腐りやすく、廃棄や保存の方法が課題とされてきました。もし乾燥・加工して飼料の原料として活用できれば、輸入原料に頼らない、地域で調達できる持続可能な選択肢になるかもしれません。今回紹介する研究では、酵素による前処理と真空パドル乾燥という方法で加工したトマトポマース(ETP)を、成犬用の飼料に配合した場合の影響が調べられました。
研究でわかったこと
研究チームは、ETPを0%、2%、4%の割合で配合した3種類の押出(エクストルーダー)飼料を作りました。ETPは、小麦ふすまとひまわり油かすの一部を置き換える形で加えられています。
まず、犬がどちらの餌を好むかを比べる「二椀法」という嗜好性試験が3回行われました。また、健康な成犬のビーグル犬12頭を対象に、3種類の飼料を期間を分けて順番に食べさせる試験(3×3ラテン方格法、各期間28日間)を4セット実施し、食べ具合や体への影響が調べられています。
その結果、ETPを配合しても飼料の栄養成分にはほとんど変化がなく、嗜好性、体重、食べた量、便の状態や排便量にも目立った影響は見られなかったと報告されています。一方で、2%配合した飼料を与えられた犬では、便のpHがやや低く、便中の「バレレート」という短鎖脂肪酸の割合が高くなる傾向が見られました。さらに、どの飼料でも消化率は90%を超えており、ETPを配合しても消化のしやすさは変わらなかったとされています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、あくまで健康な成犬を対象とした一つの試験であり、結論が確定したものではありません。研究チーム自身も、腸内細菌叢や健康関連の指標への影響については、今後さらなる研究が必要だとしています。便のpHや脂肪酸バランスの変化がどのような意味を持つのかについても、この要旨だけでは踏み込んだ評価はされていません。
また、この記事で紹介した内容は要旨に基づくものであり、研究を行った機関や研究者の国籍などについては要旨に記載がないため触れていません。
まとめ
酵素前処理・真空パドル乾燥したトマトポマースを2〜4%配合しても、成犬の嗜好性や消化率、便の状態に大きな悪影響は見られなかったと報告されています。食品加工の副産物を無駄にせず、地域で調達できる飼料原料として活用できる可能性を示す研究といえそうですが、これは一つの研究であり、今後さらなる検証が待たれます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:酵素前処理・真空パドル乾燥トマトポマースの犬用飼料における持続可能な原料としての評価(ペッツ・2026年07月)