砂糖の代わりに人工甘味料(非カロリー甘味料)を使えば、摂取エネルギーを減らせると考えられ、ダイエット飲料などに広く使われています。しかし、こうした甘味料が体の代謝にどのような影響を与えるのかについては、実はまだ議論が続いているテーマです。今回紹介する研究は、健康な成人を対象に、ショ糖(砂糖)、サッカリン、ステビオールグリコシド(ステビア由来の甘味料)をそれぞれ2週間摂取してもらい、血糖値やインスリンなどへの影響を比較したものです。

研究では、健康で体重が標準範囲にある成人39名が参加し、ショ糖(1日66g)、サッカリン(1日220mg)、ステビオールグリコシド(1日220mg)を含む飲料を、それぞれ14日間ずつ摂取しました。これは「クロスオーバー試験」と呼ばれる方法で、同じ参加者が期間を空けながら(ウォッシュアウト期間を挟みながら)3種類すべての甘味料を試すことで、個人差の影響を抑えて比較できるようになっています。また、参加者にも研究者にもどの甘味料を摂取しているかわからない「二重盲検」の形で行われました。測定は、開始前(ベースライン)と各介入後に、空腹時と食後2時間の状態で行われ、血糖値やインスリンの反応を中心に、消化管ホルモン、血中脂質、炎症マーカー、食欲の感じ方なども調べられました。

研究でわかったこと

結果を見ると、ベースラインと比べて、ショ糖とサッカリンの摂取後には空腹時血糖値が上昇し、ステビア摂取後には空腹時インスリンが上昇したと報告されています。さらに、3種類の甘味料すべてで、食後のインスリン反応が増加し、インスリン感受性(インスリンの効きやすさ)を示す指標が低下したとされています。つまり、砂糖だけでなく、カロリーのない人工甘味料でも、同じような変化が見られたという点が興味深いところです。

また、食欲に関わる消化管ホルモンであるPYYとGLP-2の空腹時濃度は、いずれの甘味料摂取後にも上昇しており、甘味料の種類による差は見られなかったとのことです。血中脂質については、中性脂肪(トリグリセリド)の値が、サッカリン摂取後と比べてショ糖摂取後の方が高かったと報告されています。一方で、コレステロールやアポリポタンパク質、炎症の指標であるCRPについては、甘味料間で目立った違いは見られませんでした。食欲の主観的な評価についても大きな変化はなく、ただしステビア摂取後の食後後半において、食べたい気持ち(食欲)がやや弱まる傾向(p=0.053、統計学的に「有意」とされる基準にはわずかに届かない水準)が見られたとされています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究の著者らは、ショ糖と非カロリー甘味料(サッカリン、ステビオールグリコシド)の短期摂取による代謝反応は全体として似通っており、血糖調節に関して甘味料間で明確な差は見られなかったとまとめています。ただし中性脂肪の値についてはショ糖の方がサッカリンより高かった一方、それ以外の指標では一貫した差は認められなかったとしています。著者らは、ベースラインからの変化については慎重に解釈する必要があると述べており、今後はより長期間・多様な集団を対象とした研究が必要だとしています。

この研究は健康な成人39名という限られた人数・期間(14日間)で行われたものであり、この一つの研究だけで人工甘味料や砂糖の代謝への影響について結論が確定したわけではありません。日常的な甘味料の選び方を考える際の参考情報の一つとして捉えるのがよいでしょう。

まとめ

今回紹介した研究では、健康な成人がショ糖・サッカリン・ステビオールグリコシドをそれぞれ14日間摂取した場合、インスリン反応や消化管ホルモンなどの変化は甘味料の種類によらず広く共通していたこと、一方で中性脂肪はショ糖の方がサッカリンより高かったことが報告されています。人工甘味料が「カロリーがないから代謝に影響しない」とは単純には言い切れない可能性を示す結果ともいえ、今後のさらなる研究の積み重ねが期待されます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:健康な成人におけるショ糖と非カロリー甘味料の短期(14日間)摂取が血糖調節、血中脂質、消化管ホルモン、炎症マーカー、食欲に与える影響:ランダム化比較試験(ニュートリエンツ・2026年07月)