著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Frontiers in Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

年齢を重ねると、筋力や活動量が低下し、心身が弱くなる「フレイル(虚弱)」という状態に陥りやすくなります。フレイルは要介護状態につながりやすいことから、世界的な高齢化が進む中で大きな公衆衛生上の課題とされています。では、日々の食事、特に色鮮やかで抗酸化物質などの機能性成分を多く含むとされる「ベリー類」の摂取は、このフレイルと何か関係があるのでしょうか。今回紹介するのは、中国と米国という異なる集団のデータを使い、ベリー摂取とフレイルの関連、そしてその背後にあるかもしれない体内メカニズムを調べた研究です。

どのように調べたのか

研究チームはまず、中国・郫都区人民医院に2024年5~7月に入院した高齢者357名を対象に、「フレイルティ・フェノタイプ(FP)」という基準を用いてフレイルの有無を評価しました。次に、米国の大規模健康調査であるNHANES(2003~2008年)のデータを用い、65歳以上の成人5,553名を対象に分析を行いました。米国側では、食事内容を振り返って記録する「24時間思い出し法」でベリー類の摂取量を把握し、約49項目の指標から算出される「フレイル指数(FI)」でフレイルの程度を評価しています。そのうえで、重み付け回帰モデルによりベリー摂取とフレイルの重症度との関連を検討し、さらに6種類の血液マーカーがこの関連にどう関わっているかを媒介分析という手法で調べました。

研究でわかったこと

中国のデータでは、ベリー類の摂取がフレイルリスクの低下と関連していることが示されました。この関連は、他の交絡因子(結果に影響しうる別の要因)を調整した後でも統計的に有意なままだったと報告されています。

米国NHANESのデータでも同様の傾向が見られました。ベリー類を全く摂取していない人と比べて、1日あたり37~74グラム、または74~158グラムのベリーを摂取していたグループでは、フレイルのリスクが低い傾向が見られ、この関連も交絡因子を調整した後で統計的に有意だったとされています。さらに、この関連は男性においてより顕著だったことも報告されています。

また、媒介分析では、血糖コントロールの指標として知られるHbA1c(グリコヘモグロビン)が、ベリー摂取とフレイルリスク低下の関連のうち6.64%を媒介していることが示唆されました。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、中国の入院高齢者と米国の一般成人という異なる集団を対象とした観察研究であり、ベリー摂取とフレイルとの「関連」を示したものです。一つの研究であり、これによって結論が確定したわけではない点には留意が必要です。またこの記事で紹介した内容は要旨に基づくものであり、研究の詳細な対象条件や解析方法などについて、より深く知りたい場合は原著論文を参照することをおすすめします。

まとめ

今回紹介した研究では、ベリー類の摂取が高齢者のフレイルリスクの低下と関連していることが、中国と米国それぞれのデータから示されました。特に男性においてこの関連がより顕著であったこと、そしてHbA1cという血液マーカーがその効果の一部を媒介している可能性が示唆された点は興味深い知見といえます。今後、こうした知見をもとにした介入研究の進展が期待されるところです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):高齢者におけるベリー類摂取とフレイルの関係、および6種の血液マーカーの媒介的役割:中国・米国の研究に基づく検討(フロンティアーズ・イン・ニュートリション・2026年07月)

著者:Ruolin Zhang(Department of Clinical Nutrition, The Third Affiliated Hospital of Chengdu Medical College Chengdu Pidu District People’s Hospital, Chengdu, Sichuan, China)、Yongyao Du(School of Public Health, Chengdu Medical College, Chengdu, Sichuan, China)、Jingping Li(School of Public Health, Chengdu Medical College, Chengdu, Sichuan, China)、Lili Ma(Department of Clinical Nutrition, The Third Affiliated Hospital of Chengdu Medical College Chengdu Pidu District People’s Hospital, Chengdu, Sichuan, China)、Jinlin Yan(Department of Clinical Nutrition, The Third Affiliated Hospital of Chengdu Medical College Chengdu Pidu District People’s Hospital, Chengdu, Sichuan, China)、Xiaoyan Zeng(School of Public Health, Chengdu Medical College, Chengdu, Sichuan, China)、Manping Zhou(School of Public Health, Chengdu Medical College, Chengdu, Sichuan, China)、Chao Kang(School of Public Health, Chengdu Medical College, Chengdu, Sichuan, China)、Chao Kang(Department of Clinical Nutrition, The General Hospital of Western Theater Command, Chengdu, Sichuan, China)、Xiaoli Peng(School of Public Health, Chengdu Medical College, Chengdu, Sichuan, China)、Xiaoli Peng(Sichuan Provincial Key Laboratory of Philosophy and Social Sciences for Intelligent Medical Care and Elderly Health Management, Chengdu Medical College, Chengdu, Sichuan, China)