チアシード、キヌア、カボチャの種、亜麻仁、そしてトリティケール(ライ小麦)。近年、健康志向の高まりとともにスーパーやオンラインで見かける機会が増えたこれらの植物性食品ですが、実際にはどのような栄養成分やフィトケミカル(植物由来の機能性成分)を含んでいるのでしょうか。同じ「チアシード」でも産地や加工方法が異なる製品が並んでいることも多く、それぞれの違いについてはあまり詳しく知られていません。

今回紹介する研究は、英国で市販されているこれらの植物性食品について、まとまった栄養・フィトケミカルデータが不足しているという課題に着目し、包括的な成分分析を行ったものです。対象となったのは、キヌア(赤、黒、有機)、チアシード(有機、白)、カボチャの種(一般栽培、有機)、亜麻仁(茶色、金色、有機)、トリティケール(有機、シリアルミール、圧延タイプ)と、複数の種類・加工形態の製品です。分析では、たんぱく質や脂質などの主要栄養素に加え、食物繊維、アミノ酸、脂肪酸、必須ミネラル、そして生理活性を持つとされるフィトケミカルまで、幅広い項目が調べられました。

研究でわかったこと

分析の結果、カボチャの種はたんぱく質含量が29〜36%、脂質含量が42〜46%と、いずれもキヌアやトリティケールを大きく上回ることが示されました。この結果から、カボチャの種は植物性のたんぱく質源・エネルギー源としての役割が期待される食品であるとされています。

食物繊維については、亜麻仁とチアシードが最も多く、いずれも100gあたり約15gを含んでいることが報告されています。またミネラルの分析では、カボチャの種がリンとマグネシウムを特に豊富に含む一方、白チアシードはカルシウムと鉄分に富んでいることが明らかになりました。

さらに、171種類の分子を対象としたLC-MS/MS(液体クロマトグラフィー質量分析)およびHPLC(高速液体クロマトグラフィー)による詳細な分析では、製品ごとにフィトケミカルの組成が大きく異なることが示されました。中でも赤キヌア、金色亜麻仁、白チアシードは、定量されたフィトケミカルの濃度が最も高く、最大で100gあたり97.2mgに達したと報告されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、英国で市販されている特定の製品を対象とした成分分析であり、あくまで一つの研究として位置づけられるものです。今回得られたデータは、食事調査や食品開発、今後の研究を行ううえでの基礎情報として役立つことが期待されていますが、特定の食品の摂取が健康にどのような影響を与えるかを直接示したものではありません。また、分析対象となった製品や産地は限定的であるため、同じ種類の食品であっても、栽培環境や加工方法が異なれば成分にも違いが生じうる点に留意する必要があります。

研究では、こうした成分の多様性そのものが、作物の多様性を活かして食生活における栄養素やフィトケミカルの幅を広げることの実用的な重要性を裏付けるものだと位置づけられています。

まとめ

今回の研究では、チアシード、キヌア、カボチャの種、亜麻仁、トリティケールという身近になりつつある植物性食品について、栄養成分とフィトケミカルの詳細な比較データが示されました。カボチャの種のたんぱく質・脂質の多さ、亜麻仁やチアシードの食物繊維の豊富さ、そして製品ごとのフィトケミカル組成の違いなど、興味深い特徴が浮かび上がっています。今後、こうした基礎データが食品選びや食事研究にどのように活用されていくのか、続報にも注目です。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:市販のチアシード、キヌア、カボチャの種、亜麻仁、ライ小麦(トリティケール)製品の栄養学的・フィトケミカル特性評価(プランツ・2026年07月)