豆腐や豆乳、味噌のような発酵大豆食品は、健康的な食生活の代表格として語られることが多い食品です。しかし「大豆食品」とひとくくりにしても、豆腐・豆乳・納豆や味噌のような発酵食品では加工方法が大きく異なり、体への影響も同じとは限りません。今回紹介する研究は、韓国の大規模な健康調査データを使って、大豆食品の種類ごとに血中脂質(コレステロールや中性脂肪)との関連を詳しく調べたものです。
この研究では、韓国のゲノム疫学調査(Korean Genome and Epidemiology Study)に参加した40〜79歳の男性42,126人と女性75,400人を対象に、ベースライン時点のデータが解析されました。食物摂取頻度調査(FFQ)という方法を用いて、大豆(煮豆など)・豆腐・豆乳・発酵味噌それぞれの摂取頻度が調べられ、韓国の脂質異常症管理ガイドラインに基づいて「LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が高い」「HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が低い」「中性脂肪が高い」といった脂質異常の有無が判定されました。そのうえで、大豆食品の摂取頻度と脂質異常との関連が、多重ロジスティック回帰分析という統計手法で評価されています。
研究でわかったこと
男性では、大豆食品全体を週7回以上摂取しているグループは、まったく摂取しないグループと比べてLDLコレステロールが高い状態との関連が弱い傾向にあったと報告されています(オッズ比0.84、95%信頼区間0.73〜0.95、傾向性のp値<0.001)。
豆腐の摂取頻度が高いほど、HDLコレステロールが低い状態との関連が弱くなる傾向が、男性・女性の双方で見られたとされています(傾向性のp値は男性で0.009、女性で0.003)。また豆乳を週2回以上摂取するグループでは、男性でLDLコレステロールが高い状態との関連が弱く(オッズ比0.88、95%信頼区間0.80〜0.98、傾向性のp値0.005)、女性でHDLコレステロールが低い状態との関連も弱い傾向にあったと報告されています(オッズ比0.78、95%信頼区間0.68〜0.90、傾向性のp値0.001)。
一方、発酵味噌については異なる傾向が示されています。男性で味噌の摂取頻度が高いほど、総コレステロールやLDLコレステロールが高い状態との関連は弱くなる一方、中性脂肪が高い状態やHDLコレステロールが低い状態とはむしろ正の関連(摂取が多いほどそうした状態になりやすい方向の関連)が見られたと報告されています。また、女性では閉経の有無にかかわらず、豆腐や豆乳の摂取がHDLコレステロールの低下と弱い関連を示したとされています。
この研究の位置づけと読むうえでの注意
この研究は、大豆食品を種類ごとに分けて脂質異常との関連を検討した点が特徴で、非発酵性の大豆食品(豆腐・豆乳)と発酵性の大豆食品(味噌)とで、血中脂質との関連の向きが必ずしも同じではない可能性が示唆されています。ただし、これは特定の集団を対象にした観察研究であり、食習慣と血中脂質の状態を同時点で調べた関連の分析です。そのため、大豆食品の摂取が脂質異常を引き起こす、あるいは防ぐという因果関係を直接証明するものではありません。一つの研究の結果であり、これをもって結論が確定したわけではない点に留意してください。
まとめ
この研究では、大豆食品といっても豆腐・豆乳のような非発酵性食品と、味噌のような発酵性食品とでは、血中脂質との関連の現れ方が異なる可能性が示されました。非発酵性の大豆食品を頻繁に摂取しているグループでは、脂質プロフィールが良好な方向と関連する傾向が報告されている一方、発酵味噌については脂質の指標によって関連の向きが分かれる結果となっています。今後さらに研究が積み重ねられることで、大豆食品と脂質の関係についての理解が深まっていくことが期待されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:大豆食品の種類は韓国成人における脂質異常と異なる関連を示す(脂質と動脈硬化ジャーナル・2026年05月)