果物の成分が健康にどう関わるかは、栄養に関心のある人にとって尽きない興味の対象です。今回紹介するのは、南国のフルーツ「ストロベリーグァバ(イエローストロベリーグァバ、学名Psidium littorale)」の抽出物が、発毛にどのような影響を及ぼすかをマウスとヒトの両方で調べた研究です。ストロベリーグァバには、皮膚に塗布すると発毛を促すことが知られている「アデノシン」という成分が含まれていることが、研究チームによってこれまでに報告されていました。アデノシンは強い抗血小板作用や抗凝固作用を持つ成分としても知られていますが、これを口から摂取した場合に発毛へどのような効果があるかは、これまで調べられていなかったそうです。今回の研究では、ストロベリーグァバ抽出物(SGE)を経口摂取した場合の発毛への影響と、その仕組みが検討されました。
研究でわかったこと
まず、マウスを用いた実験が行われました。C3H/Heマウスの背中の毛を剃り、糖質を除いたSGE(体重1kgあたり200mg)を21日間にわたって毎日投与したところ、背中の皮膚での発毛が促進されたと報告されています。このとき、皮膚の血流が増加し、皮膚の弾力性が低下する変化もあわせて確認されたとのことです。研究チームは、こうした皮膚血流の増強が発毛の促進に関わっている可能性を示しています。
続いて、ヒトを対象とした単群の臨床試験(比較対照群を設けず、参加者全員が同じ介入を受ける試験デザイン)も実施されました。市販のSGE(1日100mg)を24週間にわたって摂取してもらい、「フォトトリコグラム法」という毛髪の状態を撮影・解析する手法で毛髪数と発毛面積を評価したところ、いずれも増加したことが示されたということです。
さらに研究チームは、SGEに含まれる成分のうち、どれが発毛に関わっている可能性があるかを、毛髪の成長に関わる「毛乳頭細胞」を用いた実験で調べました。その結果、SGEに含まれる果糖(フルクトース)が毛乳頭細胞の増殖を促す働きを示し、また「ジガラクトシルジアシルグリセロール」と「ペドゥンクラギン」という2つの成分は、血管の新生に関わる「血管内皮増殖因子(VEGF)」の放出を高める働きを示したと報告されています。これらの結果から、アデノシンに加えて果糖、ジガラクトシルジアシルグリセロール、ペドゥンクラギンという計4つの成分が、皮膚血流の増強や毛乳頭細胞の活性化を介して、SGEの発毛に対する働きに関与している可能性が示唆されました。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、マウス実験と単群のヒト臨床試験、そして細胞を用いた基礎実験を組み合わせて行われたものです。ヒトでの試験は比較対照群を置かない単群デザインで実施されており、今回の要旨からは試験参加者の人数や具体的な統計的検定の詳細などはわかりません。また、この記事で紹介した内容は一つの研究で得られた知見であり、発毛効果を保証したり、特定の疾患の予防や治療を目的として推奨したりするものではない点にご注意ください。
まとめ
今回の研究では、ストロベリーグァバ抽出物を経口摂取することで、マウスとヒトの双方で発毛が促進されたことが報告されています。その背景には、皮膚血流の増強やVEGF産生の促進を介した働きが関与している可能性が示唆されており、アデノシンだけでなく果糖、ジガラクトシルジアシルグリセロール、ペドゥンクラギンといった複数の成分が関わっていると考えられています。今後、さらなる研究によってこうした知見がどこまで確認されていくのか、注目されるところです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ストロベリーグァバ抽出物は皮膚血流と血管内皮増殖因子の産生を促進することで発毛を促進する(ファンクショナル・フーズ・イン・ヘルス・アンド・ディジーズ・2026年07月)